▲極端な改造車は売却先が限定されるのは事実。でも違法改造でない限り、売れないことは決してない ▲極端な改造車は売却先が限定されるのは事実。でも違法改造でない限り、売れないことは決してない

改造車は高く売れるのか?

カスタマイズも車を楽しむ方法のひとつ。だが、いざ手放す段階になると「果たして自分の愛車は売れるのか」「ノーマルに戻した方がいいのか」と疑問が沸いてくるだろう。そこで改造車を高く買い取ってもらう方法、改造ジャンル別の適切な売り先について調べた。

改造車を高く売る方法

買い取りの現場では、改造車はどのように扱われているのか? ある国産車専門の買取店員によると「メーカーのカタログにある○○仕様のような純正コラボモデルなら、人気相応の価格で買い取ります。ただ、オーナーが独自にカスタムした車をノーマル車より高く買い取ることはありません」とのこと。

輸入車専門の買取店員にも尋ねてみると「その車種のオーナーなら大半が知っているような人気のホイールなどが装着されている場合は、ノーマル車より高く買い取ることもあります。それ以外の場合はどうしても買取額は低くなります」と教えてくれた。

改造車は好みが分かれやすい。前オーナーが気に入っていた仕様も中古車として店頭に並べた時に魅力になるかは分からない。個性的な仕様ほど、むしろ売りにくいのだ。そのため低い査定額になってしまう。

▲外観だけでなく走りまで変わってしまうと、一般的な中古車市場でのニーズはかなり低くなる▲外観だけでなく走りまで変わってしまうと、一般的な中古車市場でのニーズはかなり低くなる

ところが、これには例外もある。国産車、輸入車どちらでも外した純正品がすべて揃っていて、車と一緒に売却できるならノーマル車よりも高額査定になる可能性が高いという。

査定額が高くなる理由は単純だ。改造車だけならその状態で売るしかないが、純正品が揃っているなら「改造車+純正品のセットで販売」、「車を純正に戻し、社外品をセットで販売」「改造車と純正品を別個に販売」「純正に戻した車と社外品を別個に販売」と4パターンで売りに出すことができるからだ。

▲いつでもノーマルに戻せる状態での売却なら高額査定につながる可能性大
▲いつでもノーマルに戻せる状態での売却なら高額査定につながる可能性大

もちろん、純正品が揃っていてもボディに穴を開けるなど、すぐに元に戻せない状態だとNG。また車単体よりは高く売れるが、改造にかけた費用ほど査定額が上がるわけではない。しかし、外した純正品は処分せず、車とセットで売る方がトクだとは言えるだろう。

ちなみに、純正品を持っていても売却前にノーマルに戻す必要はない。前述したように選択肢が多いことが大切なので、買い取る側の判断に任せた方が賢明だ。

▲改造したことで不要になった純正部品は、もう使わないと思っても保管しておけば価値が出る▲改造したことで不要になった純正部品は、もう使わないと思っても保管しておけば価値が出る

売却先は改造ジャンルで選ぶ

次に、改造車をどこに売ったら良いかを考えてみる。ひと口に改造車と言ってもジャンルは様々。高値で売れる相手は、どんな仕様かによって異なる。所有者の仕様に応じた売却先を選ぶことがポイントだ。

・カーナビやオーディオなど純正+αの改造の場合
外観や内装にほとんど手を加えず、カーナビなど部品のみ純正から交換した場合は、一般的な買取店や販売店に売るのが確実。高級オーディオ・システムを装着した場合などはノーマル車の査定額に多少、プラスしてくれる可能性が高い。

この程度の改造ならディーラーにも下取りに出せるが、社外品の評価は低い傾向にある。ちなみに、JAAI(日本査定協会)では社外装備品の評価について明確な査定基準は定めておらず、「内容ごとに判断する」とされている。

・スポーツチューニング、VIP系カスタムなど走行性能に関わる改造の場合
車種や改造の程度にもよるが、ディーラーや一般的な買取店ではノーマル車より低い査定額となる傾向にある。見た目だけでなく「改造や過激な走りで車体にダメージがあるかもしれない」と懸念されるためだ。

さらに、事故を起こしていなくても「修復歴車」になっているケースもある。例えば、フロアに穴を開けてロールケージを固定しているなど、ボディに手を加えたケースは修復歴になり得る。

▲一見、派手な仕様でもボルトオンでパーツを装着したライトチューンなら一般的な買取店でも引き受けてもらえる可能性あり▲一見、派手な仕様でもボルトオンでパーツを装着したライトチューンなら一般的な買取店でも引き受けてもらえる可能性あり

そういった改造車の場合は、改造スポーツカーの買取店に売却するのがオススメ。専門だけあって独自の販売経路をもち、大きく改造した車でも買い取ってくれる。ディーラーでは0円と査定された車を数十万円で買い取った事例もあるようだ。何と言っても改造車への理解が深いため、こだわりの改造ポイントをアピールできるのが利点だろう。

大手買取店のように、どの地域にもあるわけではないが、WEBで調べれば改造車専門の販売店、買取店がすぐに見つかる。近場に店舗がないか探してみよう。

出典:GTNET「改造車の買取・査定」

▲改造車、スポーツカーの買い取りに特化した店舗を全国にネットワーク展開している「GTNET」 出典:GTNET「改造車の買取・査定」

・ショップごとのコンプリートモデルの場合
購入当初から改造されている販売店独自のコンプリートモデルなら、売却時も購入元の店舗に相談すると高値で買い取ってくれる可能性が高い。

一般的な中古車の大半は買い取った車をオートオークションに出品するが、このケースでは販売店が店頭でそのまま売ることができ、中間マージンが発生しないからだ。

・違法改造車の場合
ディーラーなどの場合、違法改造車は完全に非対応。一般的な買取店の場合も断られることがほとんどだ。

日本査定協会では「保安基準に適合しない改造をした車は、標準車に復元する減点を行う」としている。つまり、ノーマルに戻す費用がそのまま引かれるので、大幅なマイナス査定となる。車検に通る状態に戻してから売却先を探すべきだろう。

▲タイヤやホイールがボディからハミ出している、灯火類が保安基準に適合していないなど違法改造車の場合は売却できない▲タイヤやホイールがボディからハミ出している、灯火類が保安基準に適合していないなど違法改造車の場合は売却できない

こだわりの改造はアピールしよう

改造車を高く売るコツをまとめてみよう。

・純正品を保管しているなら、車とセットで売る
・改造の仕様に合わせた適切な売り先を選ぶ
・ライトチューンなら一般的な買取店でもOK
・走りが変わるほどカスタムしたなら改造車専門店へ
・ショップコンプリート車は、まず購入店に相談
・違法改造車は少なくとも車検に通る仕様に戻して売却


多少時間をかけてでも愛車の価値を理解してくれるお店を見つけることが、改造車を高く売る最大のポイントだ。そして査定時にアピールすることも忘れないように。

text/田端邦彦
photo/田端邦彦、photoAC