▲大人気の軽自動車、ポイントを押さえれば普通車以上にオトクに売れる ▲大人気の軽自動車、ポイントを押さえれば普通車以上にオトクに売れる
 

軽自動車で高額査定をGETしよう

今や売れ筋商品となった軽自動車。昔とは比べものにならないほど評価が高まっている。走りの性能が上がり、装備も豪華。安全機能も普通車に負けないくらい充実しており、最近の軽自動車は売却時も高値売却が期待できる。

そこで、高く売れる軽自動車の条件や、軽自動車を最も高く買い取ってくれる売り先、売る時の必要書類など、軽自動車を売る時のポイントを解説する。

 

軽自動車の買い取り価格は高いか安いか検証

かつては「軽自動車は骨格や足回りなどの耐久性が低いから、使用年数が長かったり走行距離が伸びたりしている中古車には価値が付かない」と言われていた。しかし現代ではどうか……。実際の中古車相場データから検証してみよう。

中古車を買う時だけでなく、相場を知る時にもカーセンサーのサイトは活用できる。パソコンでトップ画面で「メーカー車名を選択する」から車種を選ぶと、掲載車一覧画面へ遷移。検索パネルの上に選択した車種の「価格相場情報」が表示される。その項目にある「詳しく見る」をクリックすると、「中古車相場」データを見ることができる。

▲横軸が年式で、縦軸が価格帯だ。最も台数が多い年式は濃いオレンジ色で塗られる。なお、スマートフォンには未対応となる▲横軸が年式で、縦軸が価格帯だ。最も台数が多い年式は濃いオレンジ色で塗られる。なお、スマートフォンには未対応となる

これは、カーセンサー掲載車両を車種ごとに「本体価格と年式」「本体価格と走行距離」「年式と走行距離」の3パターンで分布した表。上記はダイハツ タントの「本体価格と年式」を表示している。

図を見ると2018年式、使用期間1年前後のモデルにおける価格のボリュームゾーンは、130万~150万円台だとわかる。新車当時の販売価格は約122万~162万円だったので、使用期間1年なら妥当な価格だろう。

次に年式をさかのぼって見てみよう。2014年式辺りまでは直線的に価格帯が下降。これはコンパクトカーやセダンと差がなく、年式相応と言える。だが2013年を境にカクッと値段が落ちた。

しかし、これはタントが2013年にフルモデルチェンジしたから。旧型である2代目タントも価格の下降曲線はなだらかで、2010年式(9年落ち)でも40~50万円台が価格帯の中心だ。古いモデルで値崩れするような動きは特に見せていない。コンパクトカーの中古車相場と比べても良好な価格の推移だ。

▲こちらが2代目タント。軽自動車に限らず、中古車はフルモデルチェンジして旧型になると、値落ちし始める傾向にある▲こちらが2代目タント。軽自動車に限らず、中古車はフルモデルチェンジして旧型になると、値落ちし始める傾向にある

他の車種でも調べたところ、車種による違いはあるものの、ほぼ同様の結果となった。もちろん、これは「店頭で販売される価格」。買取価格とイコールではないが、全体の動きとしては連動している可能性が高い。

つまり「最近の軽自動車なら年式が古くなったり、走行距離が進んだりしていても中古車としての価値は残る」と言えそうだ。

 

軽自動車を高く買い取ってもらう方法

軽自動車を売る時に重視したいのは売却方法。主に以下の4つに分けられる。それぞれのメリットやデメリットを見ていこう。

■下取り
「売却先をいろいろ考えるのは面倒だから、次の車を買う店で引き取ってもらおう」という人は軽自動車においても多いだろう。「下取り」のメリットは、次の車を買った店に乗っていた車を売ることで、購入と売却を同時に行えること。手間の掛からなさでは最も効果的だ。

▲下取り金額は一般的に、新たに買う車の購入金額に充当される。ディーラーの場合は安心感の高さも長所の一つ▲下取り金額は一般的に、新たに買う車の購入金額に充当される。ディーラーの場合は安心感の高さも長所の一つ

デメリットは、ディーラーや販売店が下取り業務を重視しているか、そうでないかによる。特に軽自動車の場合はサブディーラーと言われる規模の小さな販社が多く、各店舗の対応も様々だ。ただ、一般的には高額査定になりにくく、査定自体が有料という店もまだまだある。

また、自社が扱うメーカーの車なら高く買い取ってくれる可能性もあるが、他社メーカーの場合は過小評価されることも。改造などは評価に反映されず、マイナス査定になることが多い。もちろん車検に通らない仕様はNGだ。価格交渉以前に、買い取りに応じてもらえない。

■買い取り
買い取りを専門に行っている店に売るのは、今やメジャーな売却方法。買取店の多くは、普通車と同様に軽自動車の買い取りにも力を入れている。

買取店には中古車全般に精通した査定スタッフがいて、相場の動向にも敏感。今どんな軽自動車が人気か常にウォッチしている。メリットは、買取店は数多くあって競争も加熱しているため、高額査定が出やすいこと。車の売却金額が現金(多くは銀行振込)で手に入り、自由に使えるのも利点だ。

査定や車の引き渡しは店舗に直接足を運んでも良いし、出張査定も依頼できる。大半の買取店では査定無料で、引き渡しも積載車による陸送でない限り無料だ。

デメリットは、車を引き取ってもらうタイミングを間違えると、車がない期間や車が2台ある状況が発生してしまうことだ。

なお、大手買取店の中には、軽自動車に特化して販売、買取を行う店舗を展開しているところもある。専門店ならではの知識をもったスタッフが在籍し、買い取った車は通常の店舗も含めた広い販売網で取り扱う。業者を通さずに自社で販売できるから、査定額が高くなりやすいのがポイントだ。

▲ガリバー「ガリバーミニクル」

▲買取大手のガリバーでは軽自動車専門ブランド「ガリバーミニクル」を展開している ※出典:ガリバー「ガリバーミニクル」

■一括査定
一度の申し込みで、複数の買取店に査定を依頼できるインターネットサービスが一括査定だ。売却先は上記と同じ買取店だが、特定の買取店を自分で選んだ場合と比べて、店舗間の競争によって高額査定になりやすいのがメリットだ。

仕組みはサイトによって異なるが、入力フォームに自車の情報や個人情報を入れると候補の買取店がリストアップされるのが一般的。軽自動車に強いところが自動的に選ばれる。

デメリットは、複数業者からの連絡に応じなくてはいけないこと。しかしサービスによっては、その対策も可能。例えばカーセンサーの一括査定では、連絡の希望時間帯を指定することで手間を軽減できる。

▲提携業者数の多い「カーセンサー簡単ネット車査定」なら、適切な売り先が見つけられるはず▲提携業者数の多い「カーセンサー簡単ネット車査定」なら、適切な売り先が見つけられるはず

■個人売買
今やインターネットを利用した個人間売買仲介サービスで、気軽に車を売れる時代になってきた。メリットはサービス運営者以外に中間マージンが発生せず、高額で売れる可能性が高いこと。しかし、車に詳しくない落札者もいるなどトラブルになりやすい。オークション形式の個人売買では、落札されるか分からないというデメリットもある。

 

軽自動車を高く買い取ってもらう条件とは

誰に売るにしても、愛車の魅力を把握することが高値売却の鍵。売る時に評価される要素は何か、考えてみよう。愛車に以下の条件が当てはまるなら、売却時の価格交渉でアピールすべきだ。

・ターボ付きのモデルは高値買取の可能性大
軽自動車は排気量の制限がある分、パワーを稼ぐためにターボを設定している車種がほとんど。中古車市場でもターボモデルは人気だ。買取店などのスタッフがターボ付きであることを見逃すことはないと思うが、査定時には念のためアピールしておこう。

・安全装備が付いているなら、しっかりアピール
最近は軽自動車でも予防安全装備、衝突安全装備が充実しているモデルが多い。外観だけだと分からないので、査定時にはきちんと伝えること。

・追加オプションも査定アップにつながる
低価格で販売するため、グレードによっては標準装備がシンプルなことも多い軽自動車。カーナビやアルミホイールなどをオプション装備しているなら、漏らさずアピールすべし。

・希少車、人気車はプレミア価格となることも
スズキ カプチーノやホンダ ビートといった“伝説的”な車種は、販売終了から10年以上経った多走行車でも高く売れる可能性がある。車種の熱烈なファンが存在するからだ。

また、「納車まで○ヵ月待ち」といった発売直後から生産が追いつかない車種も、売却価格が高騰しがち。場合によっては、新車価格を上回る金額で中古車が販売されることもある。

▲納車待ちで話題になった4代目ジムニー。ただでさえ中古車市場で人気が高いのに、新車が品薄となれば必然的に買取価格は高額に!▲納車待ちで話題になった4代目ジムニー。ただでさえ中古車市場で人気が高いのに、新車が品薄となれば必然的に買取価格は高額に!
 

軽自動車の査定額をアップさせるポイント

査定の基準となる項目は軽自動車も普通車も共通。しかし実はプラスされる金額やマイナスされる金額が違う。以下は「JAAI」(日本自動車査定協会)が定めた、軽自動車とミニクラスの走行距離に対する加減率表だ。

▲JAAIが定めている走行距離に応じた加減率の表。グレーのゾーンは使用過程月数ごとに定められたプラスマイナスゼロの走行距離範囲だ▲JAAIが定めている走行距離に応じた加減率の表。グレーのゾーンは使用過程月数ごとに定められたプラスマイナスゼロの走行距離範囲だ

横軸に使用経過月数、縦軸に走行kmが書かれており、その交点に加減率が示されている。詳細な計算方法については割愛するが、「この年式でこの走行距離なら査定額プラスマイナスゼロ」と設定している距離が、他のクラスに比べて短くなっている。つまり、普通車と同じ走行距離でも軽自動車はマイナス査定額が大きいのだ。

一方で、ボディの傷やヘコミなどに対する減点は、普通自動車よりも低く設定されている。故障についても同様。これは軽自動車の修理費用が普通車よりも低いことが多いのが理由だ。

なお、実際の査定現場では、JAAIの基準どおりに査定されることは少ない。中古車業者による「オートオークション」のデータベースから、似たコンディションの同車種を探し、その落札金額を参考に査定額を算出するケースが多い。これは、車種や年式だけでなくコンディションなどを加味した、市場評価を反映している査定方法と言える。

実際の買取店員に聞いた話では「現在は古い軽自動車、走行距離が伸びている軽自動車でも買い手がつきやすく、そうした傾向が査定額にも反映されている」という。多走行、過年式の軽自動車=大幅な価値減ではなくなりつつあるそうだ。

 

軽自動車を売る時の手続きと必要書類

軽自動車を売る時に必要となる書類や手続きを紹介する。以下の通りだ。

■所有者が用意するもの
・自動車検査証(車検証)

車検を通したことを証明する書類。売却時に限らず、車両運行時には必ず携行が求められる。自動車検査証と印鑑登録証明書の住所が違う場合は、以下の書類も必要。

・住所変更が一度あった場合:住民票(法人の場合は登記簿謄本)
・住所変更を複数回経た場合:戸籍の附票または住民票の除票
・結婚などで姓が変わっている場合:戸籍謄本(履歴事項全部証明書)

紛失しても所轄の軽自動車検査協会で理由書と手数料納付書、第3号様式の申請書を提出すれば即日再発行してくれる。

・自賠責保険証明書
強制保険の加入を証明する書類。期限が切れていると移動が禁止されるだけでなく、自賠責保険も次の所有者に名義変更できない。紛失した場合は、加入した保険会社にその旨を伝えて再発行を申請する。

・軽自動車納税証明書
自動車税が未納だと車検を受けられない。売却時には、最新の軽自動車納税証明書が必要だ。

なお、紛失してしまっても車検を通した都道府県内の買取店に売るなら問題ない。逆に異なる都道府県内の買取店に売る場合は、再発行が必須となる。その場合は、軽自動車は市区町村役場で再発行してもらう。即日で発行可能だ。

・印鑑 (認印可)
軽自動車は認印でOK。ただし、スタンプ印は不可だ。

・振込口座情報
売却金額を振り込んでもらう時に必要となる情報。金融機関名と支店名、口座番号と口座名義が必須。

・リサイクル券
車の購入時や車検時に自動車リサイクル料金を払ったことを証明するチケット。紛失したら再発行できないが、「リサイクル料金検索」 の「自動車リサイクル料金の預託状況」を印刷すれば、代用できる。

■買取店などに用紙があり、記入するもの
・自動車検査証記入申請書
・委任状

上記のとおり、売却に必要な書類は普段からグローブボックスなどに納めている書類がほとんどのはず。売却を検討し始めた段階で、書類を紛失していないかチェックしておこう。

▲軽自動車の売却に必要な書類は普通車に比べると少ない▲軽自動車の売却に必要な書類は普通車に比べると少ない
 

売却先を見比べて軽自動車を高く売ろう

軽自動車は経済性やエコロジーの観点から、ますますニーズが高まっている。中古車でも人気があり、買取店なども今や「軽自動車は売れる」という認識だ。

そして軽自動車を高く売る最大にして唯一のポイントは、きちんと価値を認識している相手に売ること。一括査定なら複数の買取店に同時に査定を依頼できるので、必然的に高い査定額を引き出すことができるはずだ。

text/田端邦彦
photo/田端邦彦、スズキ、ダイハツ、photoAC