▲輸入車の価値は中古になると大幅ダウンする、というのは過去のイメージかもしれない!? ▲輸入車の価値は中古になると大幅ダウンする、というのは過去のイメージかもしれない!?
 

外車は安くしか売れないって本当?

「外車は新車で買う時は高いのに、売る時は安くなってしまう……」と諦めてはいないだろうか? 確かにかつてはその通りだったし、現在でもそうした傾向が残っているのは事実だ。

しかし、売却先の選び方次第でオトクに売ることができる。輸入車を最も高く買い取ってくれる店の探し方、売る方法について調べた。

 

国産車と輸入車の中古車価格の違い

そもそも輸入車はなぜ売るとき、安くなるのか? よく言われるのは「わざわざ外車を選ぶ人は新車で買い求めたい人が多く、中古車では人気がないから」という理由。もしそうなら、買取価格だけでなく販売価格も安くなっているはず。カーセンサーで国産車と外車の中古車価格を比べてみよう。

まずはフォルクスワーゲン ゴルフ。新車価格は250万円~という輸入車の中ではオトク感の高いモデルだが、中古車では確かに安くなっている。2014年当時の新車価格330万円ほどだった「TSI ハイライン」の中古車平均価格は、5年経過・走行距離5万km程度で135万円前後(2019年3月24日現在)。同年式でほぼ同価格帯の日産スカイライン「250GT」を同条件で160万円前後だから、結構な差だ。

▲日本でも人気のゴルフ(写真はGTI)。2014年モデルが135万円なら買う側としてはうれしいが…▲日本でも人気のゴルフ(写真はGTI)。2014年モデルが135万円なら買う側としてはうれしいが…

カテゴリーを変えてみよう。輸入車の代表格である、メルセデス・ベンツ。2014年新車当時の価格524万円だった「C200 アバンギャルド」は、先ほどと同じ条件の5年経過・走行距離5万km程度で260万円前後。同価格帯のクラウンアスリート「2.5 S i-Four 4WD」は270万円前後だった。

当たり前だが、外車とひと口に言っても、カテゴリーや車種によって差がある。例えばポルシェ 911やメルセデス・ベンツ Gクラスのような人気車なら、輸入車であっても中古車相場を維持し続けている。一般論として、輸入車では売れ筋モデルほど中古車価格が下がりやすく、スポーツカーやSUVなど個性的なモデルほど下がりにくい。国産中古車とは異なる傾向がある。

▲新車で人気だからと言って、中古車でも人気、買い取り価格が高いとは限らない▲新車で人気だからと言って、中古車でも人気。買い取り価格が高いとは限らない
 

輸入車の中古車相場を調べる方法

売りたい車、モデルごとの中古車相場を調べるには、カーセンサーに掲載されている車両情報から推測するのがオススメ。

その手順を説明しよう。まず、パソコンでカーセンサーのトップ画面を開き、「車種メーカーを選択する」から該当車種を見つけて検索する。物件一覧に遷移するので、車種のモデル(型式)を選ぶ。続いて検索パネル上の「価格相場情報」欄内にある「詳しく見る」をクリックする。

 ▲三代目BMWミニで検索し、物件一覧を表示した画面。最上部にある車種の基本情報から、写真赤枠内下部の「詳しく見る」をクリックすると中古車相場が表示される ▲三代目BMWミニで検索し、物件一覧を表示した画面。最上部にある車種の基本情報から、写真赤枠内下部の「詳しく見る」をクリックすると中古車相場が表示される

すると「本体価格と年式」「本体価格と走行距離」「年式と走行距離」ごとに、車種の分布図が表示される。例えば、売りたい車が「BMW ミニ 2014年式・走行距離4万km強」だった場合で見てみよう。

 ▲縦軸は「年式」、横軸の「走行距離」。年式ごとに平均的な走行距離がどれくらいか検討がつけられるはずだ ▲縦軸は「年式」、横軸の「走行距離」。MINIの場合は年間5000km程度の走行距離が平均的なようだ

最初に「年式と走行距離」で、自車の走行距離が平均より多めなのか、少なめなのかをチェックする。この例の場合、同年式の中心が2万~3万km未満なので、かなり多めだとわかる。

▲こちらは本体価格×年式の表。2014年式で最も多いのは180万円前後のゾーン▲こちらは本体価格×年式の表。2014年式で最も多いのは180万円前後のゾーン

次に「本体価格と年式」のグラフに切り替る。「2014年(H26年)」の列を見るとボリュームゾーンが160~230万円台にあり、中でも台数が多いのは170~190万円台となっている。この例では、走行距離が多めなので「同年式の中では低めの160~180万円台が相場だろう」と推測できる。

最後に確認で「本体価格と走行距離」も調べると、4万~5万km未満では160~180万円台が多い。先ほどの予想と同じ結果だった。

ただし、これはあくまで店頭販売価格。買取価格を推測するには買取店など仲介業者の手数料を差し引く必要がある。その割合は、およそ売却価格の2~3割程度と言われている。今回の場合は「買取価格は130~150万円あたりかな」と推測できる。

ちなみに、このカーセンサーの分布表はスマートフォン未対応。スマートフォンの場合は自分の車と同じ条件(車種、年式、走行距離、グレード、オプションの有無など)を検索し、掲載車両の本体価格から推測するのが妥当な方法だ。販売車両を一台ずつチェックするのは手間だが、個体のコンディションに応じた現実的な販売価格が分かる。

 

輸入車の売却先の特徴と比較

輸入車を売る場合、主に以下の5つの売り方が考えられる。

・輸入車ディーラーに下取りに出す
・国産ディーラーに下取りに出す
・輸入車専門の買取店に売る
・一般的な買取専門店に売る
・輸入車専門の中古車販売店に売る


売り先候補ごとに、ドコに売却するのが最もオトクか、ひとつずつ検討していこう。

・輸入車ディーラーに下取りに出す
次もまた輸入車を買うなら、そのディーラーに下取りに出せば売却と購入の手続きが一度で済む。「輸入車専門だし、最近は中古車の販売を行っている店舗もあるので、買い取りにも力を入れているのでは?」と思うかもしれないが、輸入車ディーラーで売られる中古車は一般的に条件が厳しい。よほどコンディションが良くないと買い取った車を店頭に並ばない。

そのため、買い取った車の多くは一般的な中古車と同様に、業者間で売買するオートオークションに出品される。となると条件は国産ディーラーとほぼ一緒。相手が買い取りに力を入れていない店舗の場合や、コンディションの悪い車を売る場合にはむしろ売却価格が安くなってしまうこともある。

 ▲最近は中古車にも力を入れている輸入車ディーラーだが、それは販売の話 ▲最近は中古車にも力を入れている輸入車ディーラーだが、それは販売の話

・国産車ディーラーに下取りに出す
乗り替える車が国産車なら、この選択肢を選ぶ人もいるだろう。ただ、国産車ディーラーのスタッフは一般的に輸入車に詳しくない。 価値を正しく判断できず、低めの査定額となってしまうこともある。5つある選択肢の中で、最もオススメできない。

・輸入車専門の買取専門店に売る
買取店の中には、輸入車に専門特化した店がある。輸入車全般に詳しく、輸入中古車の販売店をはじめ、豊富な販売ルートを持っている。さらに自社で整備工場を持つ大手買取店の場合、買い取り後の整備や修理を安く行えるので、高く買い取ってくれる可能性大だ。

・一般的な買取専門店に売る
大手の買取専門店の中には、輸入車の買い取りに力を入れているところもある。例えば業界最大手をうたうガリバーは、輸入車の販売、買い取りを行う専門店「LIBERALA(リベラーラ)」を展開。輸入車を積極的に取り扱い、高価買い取りをアピールしている。また、ユーポスのようにグループ内で輸入車販売店を持つところも。そうした輸入車に強い買取店なら、高額査定が期待できる。

※出典:ガリバー「LIBERALA」

▲高級感を前面に打ち出しているガリバーの輸入車専門店「LIBERALA」 ※出典:ガリバー「LIBERALA」

・輸入車専門の中古車販売店に売る
自分が住んでいる地域に輸入車専門の中古車販売店があり、買い取りにも力を入れているなら査定を依頼するのも一案。その後の付き合いも加味して、期待以上の買取額を提示してくれる可能性がある。

 

国産車と少し違う輸入車は査定基準

査定額は車種やグレード、年式などの基本的な要素に加えて、走行距離、傷やヘコミ、故障などのコンディションも評価される。国産車と輸入車では、評価基準に何か違いがあるのだろうか?「JAAI」(日本自動車査定協会)の査定基準を例に見てみよう。

走行距離数による減額は、車種や年式によって異なる。例えばBMW 3シリーズやメルセデス・ベンツ Cクラスなどが入る「クラスIV(輸入車)」では、国産のクラウンなどが入る「クラスI(国産車)」とほぼ同等の扱い。年式ごとに標準走行km数が定められており、概ね初度登録からの年数×1万kmより多ければマイナス、少なければプラスとなっている。

価格帯が安いクラスでは標準走行距離数がより短く設定される。つまり、上級クラスと同じ距離を走ってもマイナスされる割合が多くなる。これは国産車と同様だ。

ただし、国産車では高級な車種ほど長距離走っても価値が残る設定なのに対して、外車では超高級車だけ別扱い。フェラーリやマセラッティなどは初度登録からの年数×1万km程度の走行距離でも大幅なマイナス査定となる。これは中古高級外車を買い求める人の需要を反映した設定だろう。

 ▲BMWミニのような輸入車としては手頃な価格帯のモデルなら、査定基準も国産車と大きく変わらない ▲BMWミニのような輸入車としては手頃な価格帯のモデルなら、査定基準も国産車と大きく変わらない

傷やヘコミがあることでのペナルティは、よりシンプルだ。概ね国産同価格帯の車種よりも1.2~2倍程度、マイナス額が増える傾向にある。

例を挙げると、ベースとなる価格が500万円程度の車で、カードサイズ(約54×86mm)以上A4サイズ(210×297mm)未満の傷(ヘコミはなく、塗装だけで直る前提)が1ヵ所ある場合。国産車なら約14万円の減額だが、外車だと約17万円も査定額がマイナスされる。

これもまた超高級車は別扱いで、新車価格5000万円級の車なら上記と同サイズの傷でも700万円もマイナス! このあたりになると車個体ごとの判断となるので、基準にあまり意味はないだろう。

 ▲塗装だけで直る傷なら査定のマイナス額は低めだが、鈑金が必要になるヘコミだとマイナス額が大きくなる ▲塗装だけで直る傷なら査定のマイナス額は低めだが、鈑金が必要になるヘコミだとマイナス額が大きくなる
 

輸入車の査定額が高くなる装備

査定額には装備品の内容も大きく影響する。輸入車を求める人は、いわゆる「フルオプション」を希望する人が多い。そうした需要が買い取りにも反映されるので、以下のような装備が付いていると高額査定をもらえる可能性が高い。

・サンルーフ
サンルーフはアルミホイールなどと違って購入後に装着できないため、付いていると高評価。買取店との交渉でも存分にアピールすべきポイントだ。

 ▲国産車同様、サンルーフは車種を問わず高額査定につながりやすい装備 ▲国産車同様、サンルーフは車種を問わず高額査定につながりやすい装備

・本革シート
高級輸入車では、もはや装備されていて当たり前と言える本革シート。擦れや破れがあると低く評価されてしまうが、状態が良ければ高額査定につながりやすい。

・カーナビ、高級オーディオ
輸入車の純正カーナビは国産車のような規格サイズになっていないことが多い。しかもエアコン操作などが一体となっているなどして、市販のカーナビと交換するのが難しい。そのため、高性能な純正品が付いていると高評価となる。

・カーナビ、高級オーディオ
輸入高級車にはオプション価格で何十万円もするオーディオシステムは用意されている。当然、中古車になっても人気の装備で、査定額アップの対象となる。

 

輸入車を売る時の必要書類

外車を売る時に必要となる書類は、国産車と同じ。以下の内容だ。

■所有者が用意するもの
・自動車検査証(車検証)
・印鑑登録証明書
・自賠責保険証明書
・自動車納税証明書
・実印
・振込口座情報
・リサイクル券(預託済みの場合)


自動車検査証と印鑑登録証明書の住所が違う場合は、以下も必要。

・住所変更が一度あった場合:住民票(法人の場合は登記簿謄本)
・住所変更を複数回経た場合:戸籍の附票または住民票の除票
・結婚などで姓が変わっている場合:戸籍謄本(履歴事項全部証明書)

■自動車買取店に用紙があり、記入するもの
・譲渡証明書
・委任状


車検証や自賠責保険証明書、リサイクル券などはワンセットでグローブボックスなどに保管されていることが多い。紛失してないか事前にチェックしておくこと。一方で印鑑登録証明書は所轄の市区町村役場で発行してもらう。有効期限があり、3ヵ月以内に発行されたものでなくてはならない。

 

外車を高く売るコツは選択肢を増やすこと

外車はメーカーや車種ごとの専門性が高く、売りたい車に詳しい買取店や販売店を自力で見つけるのは難しい。

しかし膨大な数の買取店と提携しているカーセンサーの一括査定なら、輸入車に強い買取店と出会える可能性が高まる。一括査定と外車専門の中古車買取店、販売店への査定依頼を同時に進行し、高価売却できるを狙うのもアリだ。
 

text/田端邦彦
photo/田端邦彦、メルセデス・ベンツ、MINI、フォルクスワーゲン、photoAC、Adobe Stock